配当の複利、もったいない? それでも"今"教育費に使うと決めた理由【中学受験】
配当金は再投資すれば複利でもっと増える。それでもわが家は、配当を"今"の教育費に使うと決めました。複利を捨てると何を失うのか、なぜ後ろめたさを感じるのか。中学受験中の父親が、時間軸と罪悪感の正体から正直に書いた記録です。
目次
この記事は、わが家の投資と家計の記録です。特定の銘柄や投資方法をおすすめするものではありません。投資には元本割れや減配のリスクがあります。複利の効き方や正解は、家計の状況やリスクの取り方によって大きく変わります。あくまで「教育費を支える親が、こんなふうに考えた」という一例として読んでもらえたらうれしいです。投資判断は、最後はご自身の責任で。
配当の入金通知が届いた、ある夜のことです。
うれしいはずなのに、ほんの一瞬、手が止まりました。「これを再投資に回せば、10年後はもっと増えるのにな」と。複利の力を思うと、目の前のお金を使うのが少しもったいなく感じたのです。
でも、すぐに思い直しました。それでも、いまは教育費に使う。わが家はそう決めています。
次女は小6で、いままさに中学受験のまっ最中。お金が必要な山は、10年後ではなく”今”だからです。
この記事でわかること。
- 「配当は再投資が正解」がいちばん効くのはいつなのか
- 複利を”今”あきらめると、何を失うのか(数字でなく考え方で)
- 「配当を使うのは投資の負け」という罪悪感の正体と、その手放し方
なお先にお断りしておくと、これは正解の話ではありません。「わが家はこう整理して、迷いが消えた」という一例です。
結論|複利はもったいない。それでもわが家は配当を”今”の教育費に使う
先に結論から書きます。
複利を手放すのは、たしかにもったいない。それは事実として認めます。それでもわが家は、配当を再投資せず、いまの教育費に使うと決めました。
理由はシンプルです。お金が増える時期と、お金が要る時期が、ずれているから。
複利がいちばん効くのは、ずっと先の未来です。でも教育費の山は、いま目の前にあります。未来の伸びを少しあきらめてでも、いまの安心を選ぶ。それがわが家の答えでした。
このあと、なぜそう考えたのかを順番に書いていきます。
「配当は再投資が正解」がいちばん効くのは、子どもが巣立った後
「配当金は使わず再投資すべき」という考え方は、間違っていません。むしろ、お金を最大に増やすという目的なら正しいと思います。
ただ、その正しさがいちばん効く時期があります。それは、子育てが一段落して、お金を寝かせておける時期です。
複利は時間が長いほど効く=ピークは15〜20年後
複利は、「増えたお金がさらに増えを生む」しくみです。雪だるまを転がすほど大きくなるのと同じで、転がす距離(=時間)が長いほど効いてきます。
逆にいうと、時間が短いと効きは弱いということ。1年や2年では、雪だるまはまだ小さいままです。
複利の本当のすごみが出てくるのは、15年、20年と転がしたあと。つまり、いまの小6・中2の娘たちが大人になって巣立ったあとの世界です。
でも教育費の山は”今”。増える時期と要る時期のズレ
ここに、わが家の悩みの正体がありました。
複利のピークは15〜20年後。でも、教育費の山はまさに”今”なのです。
中学受験の塾代、模試代、講習代。私立中学の学費。これらは未来ではなく、毎月・毎シーズン、目の前に来ます。
「いちばんお金が要る時期」と「いちばんお金が増える時期」が、見事にずれている。だから、未来の複利を最優先にすると、いまの家計が苦しくなる。このズレに気づいたことが、わが家の出発点でした。
教育費の「いつ・いくら」の山については、中学受験と私立中学の教育費は、いつ高くなる?わが家の年間カレンダー にまとめています。
複利を捨てると、何を失う?正直に書く(数字でなく考え方で)
「使う」と決めるなら、その代わりに何を手放すのかも、ごまかさず書いておきたいと思います。
失うのは「未来の資産の伸び」。事実として認める
配当を使うと、その分は再投資されません。だから、本来そこから生まれたはずの”未来の伸び”は得られなくなります。
これは、はっきり失うものです。「使っても損はない」と自分に言い聞かせるのは、たぶん少し違う。失うものは失うと、まず正直に認める。そのほうが、かえって迷いがなくなりました。
| 配当を再投資する | 配当を”今”使う(わが家) | |
|---|---|---|
| いま使えるお金 | 増えない | 教育費に回せる |
| 将来の資産の伸び | 大きくなりやすい | その分はあきらめる |
| いまの家計の安心 | 別に現金が必要 | 配当でまかなえる |
得るものと失うものを並べてみると、これは「損か得か」ではなく「いつのお金を大事にするか」の選択なのだと見えてきます。
でも”配当を使うだけ”なら、お金を生む元手は減らない
ひとつだけ、わが家が安心している点があります。
それは、使っているのは配当だけで、株そのもの(元手)は売っていないということです。
株を持ち続けているかぎり、来年も再来年も配当は入ってきます。果実だけを食べて、果実を実らせる木は残しているイメージです。
だから「未来の伸びは少しあきらめる」けれど、「お金を生むしくみ自体を失う」わけではない。ここが、貯金を取り崩すのとは違うところだと考えています。
「配当を使うのは投資の負け」という罪悪感の正体
ここまで理屈を整理しても、心のどこかに後ろめたさが残っていました。「配当を使うなんて、投資家として負けなのでは」という感覚です。この正体を考えてみます。
SNSや本の”再投資が正義”が刷り込む後ろめたさ
投資の情報にふれていると、「再投資こそ正義」というメッセージをよく目にします。複利のグラフ、〇年後の資産額のシミュレーション。どれも魅力的です。
そういう情報をたくさん浴びていると、いつのまにか「使う=間違い」という空気が、自分の中に刷り込まれていきます。
でも、よく考えると、それらの多くは「資産を最大にする」のが前提の話です。前提が違えば、結論も変わるはずなのです。
投資の目的は資産額の最大化でなく、家族の安心。ゴールが違えば正解も違う
わが家にとっての投資の目的は、資産額をいちばん大きくすることではありません。
娘たちの教育を、お金の不安なく支えること。これがゴールです。
ゴールが「資産の最大化」なら、再投資が正解。でもゴールが「いまの家族の安心」なら、いま使うのも立派な正解になります。
同じ「配当を使う」という行動でも、ゴールが違えば、それは負けではなく、選んだ正解になる。そう気づいたとき、後ろめたさがすっと軽くなりました。
再投資せず塾代に充てる、という日々の選択そのものは、姉妹記事の配当金は再投資が正解? でもわが家は塾代に使っています に書いています。
時間軸で考えると迷いが消えた|今は「使う」、いつか「育てる」
迷いが本当に消えたのは、「ずっとどちらか」ではなく「時期で切り替えていい」と気づいたときでした。
教育費ピークを越えたら、再投資に戻せばいい
いまは教育費の山のまっただ中。だから、配当は使う時期です。
でも、この山がずっと続くわけではありません。子どもが進学・卒業して教育費が落ち着けば、配当は急に「使わなくてもいいお金」に変わります。
そうなったら、また再投資に戻せばいい。元手の株は売らずに持ち続けているので、スイッチを切り替えるだけです。
「いまは使う、いつか育てる」。この時間割で考えると、いま使うことが将来を捨てることにはならない、と思えました。
お金の使い方は、家族のステージに合わせて変えていい
子育てには、季節のようなステージがあります。お金が出ていく季節もあれば、少し落ち着く季節もある。
なのに、投資方針だけを何十年も同じにしておく必要はないはずです。家族の季節が変われば、お金の使い方も変えていい。
- 教育費の山の時期 … 配当は”今”使う(わが家のいま)
- 教育費が落ち着く時期 … 配当を再投資に戻して”育てる”
ひとつのやり方に縛られず、ステージで使い分ける。そう決めたら、毎回の配当通知に、もうためらわなくなりました。
この考え方が向く人・向かない人
「いまは使う」という選び方が、すべての家庭に合うわけではありません。正直に書いておきます。
向いている人
- いま教育費など、まとまった支出の山が来ている
- 株を売らず、配当だけを生活や教育費に回したい
- 資産の最大化より、いまの家計の安心を優先したい
あまり向かない人
- まだ子どもが小さく、大きな支出の山が先にある
- いまは現金に余裕があり、お金を寝かせておける
- とにかく将来の資産額を最大にしたい
家計の状況も、お金に対する考え方も、家庭ごとに違います。だから「使うのが正解」とも「再投資が正解」とも言い切れません。自分の家の”いまの季節”がどこかを見るのが、いちばん大事だと思います。
まとめ|複利より、子どもといる”今”を選んだ
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 複利を手放すのは、たしかにもったいない。それは事実として認める
- でも複利のピークは15〜20年後で、教育費の山は”今”。時期がずれている
- 失うのは「未来の伸び」だけ。元手の株は売らないので、お金を生むしくみは残る
- 「使う=負け」は、資産最大化を前提にした刷り込み。ゴールが違えば正解も違う
- いまは「使う」、教育費が落ち着いたら「育てる」に戻せばいい
配当の通知を見て一瞬ためらった、あの夜。複利のことを思えば、いまも少しもったいない気はします。
それでもわが家は、複利より、子どもといる”今”を選びました。10年後に増えているお金より、いま娘の受験を不安なく支えられること。わが家にとっては、そちらのほうがずっと価値があると思えたからです。
同じように教育費の山と向き合っている方は、こちらもよかったらどうぞ。
- 7月の教育費50万円を怖がりすぎない。現金・配当・投資の「時間軸」で見た家計管理
- 中学受験と私立中学の教育費は、いつ高くなる?わが家の年間カレンダー
- 配当金は再投資が正解? でもわが家は塾代に使っています
- 【中学受験ログ】シリーズ目次——小6の娘との伴走記録
よくある質問
最後に、配当の使い方でよく聞かれる疑問をまとめます。いずれも「わが家の考え方」であって、正解の保証ではありません。
Q. 配当を使うと、将来いくら損するの?
いくら損するかは、金額・利回り・年数・税金によって大きく変わるので、ひとことでは言えません。確実に言えるのは「再投資した場合より、将来の資産の伸びは小さくなる」ということだけです。具体的な金額は、ご自身の条件でシミュレーションするのが安全だと思います。
Q. 配当だけで教育費は全部まかなえる?
わが家では、配当だけで教育費のすべてはまかなえていません。配当は「教育費の一部を支える助け」という位置づけです。配当でどこまでカバーできるかは、保有額や教育費の大きさ次第なので、無理のない範囲で考えるのが大事だと思います。
Q. NISAなら、配当を使っても得なの?
NISAは利益が非課税になる制度ですが、「使うか再投資するか」の損得そのものを変えるわけではありません。制度のしくみや有利・不利は人によって変わり、変更されることもあります。最新の内容は公式情報を確認し、断定的な情報をうのみにしないことをおすすめします。