AIで娘専用の復習アプリを作った話
模試の取りこぼしだけを集めた復習アプリをAIで自作し、次女の中学受験と長女の英語に使っています。父が採点係をやめられた話、入口を作りすぎて失敗した話、そして「どこでつまずいているか」はまだ分からないという正直な記録です。
目次
塾の宿題は、全員に共通の課題です。 でも、苦手の場所は子どもによって違う。
我が家では、次女の過去の模試の正誤データをもとに、AIで「苦手分野だけを集めた復習アプリ」を作りました。「まなびの森」と名付けて、家族で使っています。
何をしたか
- 過去の模試・育成テストの答案PDFをスキャン
- 設問ごとに「正誤」「全国正答率」「カテゴリー」をCSVに整理
- 全国正答率50%以上なのに×だった問題=「取りこぼし」を抽出
- その分野の3択クイズをAIに生成させ、HTMLアプリに格納
これを4科目分、はじめは計359問。いまは問題を足し続けて、4科目で561問になりました。HTMLファイルを開くだけで動き、サーバーも不要です。むずかしい仕組みはいらず、1枚のプリントを家で配るくらいの手軽さ、という感覚です。
AI生成のコツ
問題文の質を保つために、こんなプロンプトを使っています:
以下の条件で中学受験レベルの3択問題を1問作って:
- 科目:理科
- 分野:てこの計算
- 難易度:★★☆標準(みんなが取れているレベル)
- 問題文・選択肢3つ・正解・ヒント・褒めメッセージをJSON形式で
「ヒント」と「褒めメッセージ」を必ず付けるのがポイント。 間違えても恥ずかしくない、続けられる仕組みを作りたかったので。
効果はあったか:親から見た「使われ方」
まだ、はっきりした答えは出ていません。 ここで書けるのは、親の目から見えた範囲の変化だけです。
一番の収穫は、父が教えなくなったこと
作る前、わが家の週末はこうでした。 テストの答案を広げて、次女が丸をつけて、間違えたところを親子で確認する。 そして、たいてい途中で空気が悪くなる。
アプリにしてから、この工程が消えました。 正誤の判定も、ヒントも、「惜しかったね」の一言も、全部アプリ側が引き受けてくれます。
父の役割は、教える人から、隣で見ている人へ変わりました。 わが家にとっては一番大きな変化です。
入口を作りすぎた
一方で、反省もあります。
作っているうちに、入口がどんどん増えました。 科目を選ぶカードが4つ、弱点だけを集めたドリル、コレクション、レベル表示。 志望校のレベルに合わせて取りこぼしを絞り込む機能や、応援キャラからのメッセージも作りました。 ひとつひとつは「あったほうがいい」と思って足したものです。
でも、たぶんこれは入口が多すぎたのだと思います。 開いた瞬間に選択肢が並んでいると、まず「どれをやろう」を決めなければいけない。 そこで手が止まって、そのまま閉じられていたのかもしれません。
そこで、最近のバージョンアップでこうしました。
- 科目を選ぶカード4つを、「▼ ほかのメニューを見る」の折りたたみの中にしまった
- 代わりに、いま一番効く2つ(理科と社会の思い出しドリル)を画面の先頭に置いた
やったのは、機能を足すことではなく、選ばせないことです。 「今日はこれをやればいい」が最初に目に入る形にしただけ。
もっとも、コレクションもレベル表示も、いまだにトップに出したままです。 全部は直せていません。
それでも、大人が良かれと思って入口を足すほど、子どもは何をやればいいか分からなくなる。 これが、作り続けてみて一番はっきりした学びでした。
「成績が上がったか」には、まだ答えられない
塾の宿題も、テスト勉強も同時に走っているので、 アプリの効果だけを取り出して測ることはできません。
なので、わが家では効果の指標を一段下げて、 「取りこぼした分野が、少しよくなったと本人が言えるようになったか」を見るようにしています。 そこは少し本人の自信につながり始めているかな、という実感はあります。
姉の英語にも足してみた。でも「どこでつまずくか」は分からないままだった
このアプリは、次女の中学受験のために作ったものです。 でも同じことを、姉(長女・中2)にもやってみました。
単語は覚えられるのに、文法でつまずく
単語は覚えられるのに、文法の理解がうまくできない—— 長女が悩んでいたのは、そういうことでした。
親としては、少し意外でした。 単語のテストでは点が取れている。つまり、覚える力の問題ではない。 それなのに、文になったとたんに手が止まる。
長女には、地理の暗記用に作ったアプリ(探求の翼)がすでにありました。 そこに、7月の改修で英語を足しました。
- 英単語を120語(動詞・名詞・形容詞の単元別)
- 期末テストの答案で失点が多かった型を集めた文法練習を22問
- 英語→日本語、日本語→英語の両方向と、選ぶだけでなく入力する練習
「文の骨組み」「不定詞・動名詞」「語順・和文英訳」「ミニ英作文」—— 答案を見ながら、少し苦手そうな型ごとに分けました。
それでも、原因は分からないままだった
作ってみて気づいたのは、練習は増えたけれど、原因の特定は1ミリも進んでいないということです。
間違えた問題は記録されます。でも分かるのは「この問題を間違えた」までで、 なぜ間違えたのかは分からない。 単語を知らなかったのか、順番を間違えたのか、訳から入って崩れたのか。
これは、次女のときに一番効いた部分がすっぽり抜けている状態でした。 次女のアプリで効いたのは問題数ではなく、「正答率50%以上なのに×」という取りこぼしの特定だったからです。 姉にも、同じことが当てはまりました。
父が立てた、3つの仮説
専門家ではないので、あくまで答案を横で見ていた父の見立てです。
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語順の型が身についていない 英語は「だれが・どうする・なにを」の順番が決まっています。 単語をいくら知っていても、並べる順番の型がないと文を組み立てられない。 材料は全部そろっているのに、作る手順を知らない状態に近いのかもしれません。
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be動詞と一般動詞の使い分けが曖昧 「〜です」と「〜する」で使う動詞が違う、という土台が揺れていると、 否定文・疑問文になった瞬間にすべて崩れます。
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日本語訳から入っている 訳せることと、英語の型で理解することは別物です。 訳す力でカバーできてしまうぶん、型の弱さが表に出にくい。
どれが本当の原因かは、まだ分かりません。 3つとも少しずつ当たっている、という可能性もあります。
次に足すのは、問題ではなく「切り分け」
なので、次にやることは文法問題を増やすことではありません。 どこでつまずいているかを見分ける仕組みのほうです。
考えているのは、こんな形です。
- 同じ内容を、複数の形式(選ぶ/並べる/入力する)で出す
- どの形式で落ちるかを見て、語順の問題か、動詞の使い分けか、訳の癖かを切り分ける
- 分かった型だけを、あとから集中的に出す
次女のときは、模試という「切り分け済みのデータ」が先にありました。 姉のほうは、そのデータを自分で作るところからです。
姉にも同じやり方が通用するのか。 うまくいかなかったら、それも含めて書きます。
まとめ:AIは、親と子の間に立つ翻訳者になる
AIが家庭教師になる時代——というより、親と子どもの間に立つ翻訳者になる時代が来ている気がします。
わが家がやったことは、教えることではありませんでした。 「この子はどこでつまずいているのか」を、父が分かる形に翻訳しただけです。 妹の模試でも、姉の英語でも、やろうとしていることは変わりません。
その後、この「どこでつまずいているかを見分ける」ほうを、アプリではなくAIとの答案の読み方として整理しました。次女の理科と姉の英語で、実際にどう絞り込んだかはこちらです。
→ 中学受験の答案をAIで見直す|『理科が苦手』を次の対策に変える方法
わが家でAIを家庭学習にどう使ってきたかは、こちらにまとめています。
→ 【まとめ】AIで子どもの学びを支える——わが家の試行錯誤と4つの実践記録
姉のために作った、暗記用のアプリの話はこちらです。
→ 地理が苦手な長女のために、パパがAIで専用学習アプリを作った話
「親が直接教えると、なぜか空気が悪くなる」という悩みについては、こちらの記事でも書いています。